“希霜”天外?

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夢の道を案内する緑色のカメ

「色彩エッセイ」カテゴリー、新設しました。
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2008年の木々が芽吹き始めた頃、希霜は、
穏やかに降る雨の中で見知らぬ土地を迷いながら歩いていた。

それなりに広く、しかし落ち着いた感じの公園がある。

手に持った大雑把な案内地図を回転させながら、
目的地のすぐ近くまで来ていることを確認した。

立ち止まって顔を上げると、不安定な視線の先に
店の屋号が書かれた緑色の楕円形の看板を見つけた。

“夢KAN”

木造の、素朴で小さな二階建て。
屋号は合っているが、想像していた雰囲気と随分違う。

本当にここなのだろうか?…と、まだ疑いつつ
やや緊張気味に緑色の暖簾をくぐって
初めて来た町の、不思議な蕎麦屋の戸を開けた。

「あ、こんにちはぁ。写真展を見に来たんですけど…」

蕎麦屋…兼、貸しギャラリー

こんな組み合わせは、
日本で(少なくとも大阪では)ここだけではないだろうか。

ともあれ、見に来た写真展とは、
自転車愛好家・アマガエルさんの街撮りスナップ『街町展』だ。

(ちなみに、後に彼は自転車で日本一周を達成し、
 その記念写真展を来月開催します。乞うご期待!)

HPを通して知っているだけで会ったことのない人だったが
自転車+写真という共通性に親しみを感じて電車を乗り継いで来たのだ。

「…写真展を見に来たんですけど、いいですか?」

躊躇しながら尋ねる初めての客を、
夢KANのマスターは温かく出迎えてくれた。

「どうぞどうぞ、ここの壁がギャラリーになってるんですよ。」

カウンターが4席。
こぢんまりとしたそのスペースに、先客が1名座っていた。

カウンター席に腰掛けると、
背後にギャラリーとして使われている壁がある。

蕎麦が出てくるまでの待ち時間に
体をひねってテーブルに片肘をついて作品を楽しめるのだ。

「アマガエルさんのお知り合いですか?」

マスターが訊く。

「直接の知り合いではないんですがHPつながりで・・・」

と、説明していると
もう一人のお客さんが言う。

「実は僕もそうなんですよ」

自称、旅人。いや、自他共に認める旅人・ピースケさん。
インドやケニアの話が飛び出す。

こちらもちょうど撮影旅行で韓国の田舎へ
行ってきたところだったので、話が盛り上がる。

その様子を見ていたマスター。

「二人で、ここで旅の写真展やってみたらどうですか?」

えっ、僕らが写真展??
ピースケさんと顔を見合わせる。

やってみたい気はある。
でも何をどうすればいいのだ…

右も左も分からない我々に、
マスターが楽しそうに手順を説明してくれる。

二人ともだんだんその気になってくる。
できるかもしれない…。

「なるほど…一度、やってみましょう…か?」


これを機に、希霜の写真活動が始まった。
写真道から派生して色彩の世界へもつながった。

この日の出会いのおかげで、
アマガエルさん、ピースケさんとは撮影旅をする仲間になった。

あれから、もうすぐ4年が経つ。

当時勇気を振り絞ってやっとできた写真展開催という行動が、
いつのまにか自分の生活に溶け込んでいる。

それどころか、写真の枠を越えて
いくつものコラボ企画を展開するまでに至った。

今、いろいろな企画を開催するときの中心意識を、
Recycling of Happiness という言葉で表している。

その意味は、

 ・人に幸せをもたらすこと。
 ・人と人のつながりを生み出すこと。

簡単に言うと、この2つだ。

必ずしも成功ばかりではないが、時には辛くても
人に喜んでもらえることが活動のエネルギー源になっている。

それにしてもなぜ、自分は身を削ってまで
このような目的を掲げるようになったのか…。

あるとき、過去を振り返って気づいた。

この考えのベースは、実は、
あの日の夢KANから始まった自分自身の体験そのものなのだ。

そして今度は自分が、
誰かのそのようなきっかけを作ることを考えている。

そのやり方を“希霜流”と言ってはいるが、
実際のところ“夢KAN流・希霜風味”なのだろうとも思う。


先月は、
久々に夢KANで写真展(二人展)を開催した。

「活動の原点は、ここなんです。」

見に来ていただいた方々にもそう伝えた。

3年半の活動という大きな環を描いて
原点に帰って来られたことが嬉しかった。

ここから始まった幸せが、今またここで新たな幸せを呼ぶ。
まさに美しい Recycling of Happiness の形だった。

ちなみに、夢KANという屋号の由来は
“夢に向かって完走する”という意味。

“AU”の文字が入ったカメのロゴについて
マスターが話してくれたことがある。
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公式HPより引用)

「A=焦らず、U=ゆっくりと。
 夢KAN+AU=夢叶う(KANAU)」

情熱の赤でもなく希望の黄色でもなく、緑色のカメ。
ここにマスターの想いが詰め込まれていた。

どちらかというと全力疾走をしたがる希霜。
定期的に疲れ果てて落ち込む時期が来る。

実際に、年明けから無力感と孤独感に襲われて
かなり自信喪失気味だった。

まあ…焦らずにゆっくりと(しかし希霜は希霜の色で)、
みんなの人生を豊かにしていけばいいではないか。

写真展の開催を通して、またひとつ知らず知らずのうちに
緑色の穏やかな後押しをしてもらったのかもしれない。
 
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by lightful | 2012-03-17 11:53 | 色彩エッセイ

日常をライトフルに綴る写真雑記 HP http://lightfulproject.jp/


by 希霜
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